葵ちゃんの1stソロライブのストーリーが大好きな話

現地レポ的なものではないです。

 

富士葵ちゃんの1stソロライブOVERTURE〜序曲〜に行ってきました。

感想といえば一に良かった二に良かった…最高!でさっぱりまとまってないです。ただ、今回のライブの特徴として、動画による「ストーリー」が挟まっていたことが挙げられると思います。その内容も、葵ちゃんの葛藤をネガティブな面含めて出してきたもので、最初出てきたときは一体何が始まってるんだ…と正直面食らってもいました。それについて考えていると、ああ、これ自分の好きなやつだな…と思ったのでちょっと掘り下げたいと思います。

序盤のプロットだけを書くとこんな感じです。*1*2

葵ちゃんはキクノジョーにソロライブ開催決定を告げられる。

葵ちゃんは最初喜ぶが、複数の葛藤(本当にやりたいことと周りが望んでいること、本来の自分に出来ることと周囲にお願いされることなど*3  )とそれを回収していく大きな不安の存在のためにライブ開催をためらう。

不安の中に落ち込んでいく葵ちゃんだったが、ファンからのDMによって勇気を得て、ソロライブを開催すること、さらに新曲を作ることを決める。

そして━━━

このプロットの中で特に印象に残るのが葛藤の場面で、時間的にも長くなっていました。そしてそのことは、自分にとって非常に魅力的な葵ちゃんの側面、これまで断片的で表しにくかった一側面を、とても印象に残る形で伝え、葵ちゃんの魅力の深みを増してくれました。

このプロットから自分が注目したことは、「自分がその状況の下にある事実自体からは逃れ難い自分の状況について認識、分析する視点」を確保するということ。そして、「その視点をもっていながらやはりその状況下に帰ってきてしまう」というどうにもならない状況を捉えているということ、そしてその筋立ての仕方です。

分かりにくすぎるので自分のイメージするこういった状況の例を少し。

 

自分の「好き」が身体的なものか純粋に精神的なものなのかと葛藤する。このとき、自分が結局身体と精神とが一体になってこそある存在だということはどうにもならない。その事実を捉えた上で、それでもあれやこれやと考えて、恐らく精神的なものに寄せようとしていこうとする。それでもふとした拍子に、身体が主体となった「好き」のあり方を感じてしまう。

コミュニケーションが苦手だと自分を認識している人が悩みつつも様々に手を出すが、時々にコミュニケーションの壁を感じてしまう。

 

葵ちゃんの物語も、自分の環境と自分の思いがズレているのではないかという疑いについて認知し、考えて葛藤するも、葛藤そのものについて結論は出ないという点で、こうした物語と通底するところがありました。

そして、自分はこうした物語が大好きです。筋立ても好きですが、こういった物語を背負うことそれ自体がキャラとして、人格としての魅力をさらに引き出してくれると思います。というのも、このどのようにでも捉えられる物語を喜劇とするか、コメディとするか、悲劇とするか、風刺劇とするかというところにその人の語り口の個性が凝縮され、ひいては基本線としてのその人の印象が形作られると思うからです。例えば自分の好きな一人のVtuberはこうした話をペーソスのある喜劇として語ることが多いですし、ツイッターを見ていると風刺劇あるいは悲劇として語られるのもよく見ます。

こうした中、葵ちゃんは葛藤に向き合いつつもこの物語をコメディと喜劇の二本柱によって表現しました。ここに表れた真摯さ、笑い、そしてなんとかポジティブな方向に進んでいこうとする力は、これまでの歌、動画、ブログ、ツイッターその他から感じていたものをその形式によってエッセンスが抽出された形で示してくれたものでした。だからこそこれまでの葵ちゃんにピタッとハマる、そして心を強く揺り動かしてくる物語になったのだと思っています。*4

そして、これは魔界の方々が思い切って葵ちゃんに物語を任せつつ、葵ちゃん自体の一体不可分の要素として普段の葵ちゃんを表現した、そのおかげであり、なんといっても葵ちゃん自身の努力の結晶の一つであると考えています。

ここまで考えを進めたところで葵ちゃんにかけられる言葉はありがとう、好きです、これからも応援してますから進歩できない。そんな語彙力の貧困、言葉の限界を嘆きつつ、あの物語で葵ちゃんのしていたように、葵ちゃんがこんな言葉でも喜んでくれると信じて、何度でも言いたい。ありがとう、最高のライブでした。大好きです。これからもずっと応援してます。

*1:プロット以外の部分、特にキクノジョー絡みの笑い要素も素晴らしくて、他にも曲とのつながりとか、様々なところから良さが語れるだろうな…と思います。

*2:マジで良かった実際の映像は1stフルアルバム『有機的パレットシンドローム』の初回限定デラックス版に付属のブルーレイで。https://fujiaoi.com/contents/271510

*3:実際にはもうちょっと具体的な場面を示す形で、その表現方法もああ、Aoi ch.だ…好き…と思う感じだった。

*4:書きながら思い出して涙が出てきた!!